大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)1986号 判決

控訴人が本訴請求原因として主張するところは、債権者被控訴人松原嘉雄、債務者控訴人中村きん、連帯保証人控訴人中村英夫間の東京法務局所属公証人齊藤喜市作成第十一万四千三百五十五号債務弁済契約公正証書の原本は、公証人齊藤喜市が昭和二十四年七月六日作成したものであるが、同公証人が右作成に使用した印章は、当時東京法務局へ届出てない印章を勝手に使用したものであるから、右公正証書の原本はこれが作成についての法定の形式要件を欠き法律上当然無効であるので、民事訴訟法第五百四十五条の請求異議の訴によりその執行力の排除を訴求すると云うにあることは明白である。

然しながら、民事訴訟法第五百四十五条の請求異議の訴とは、債務名義に表示された請求権が、実体上の事由により不発生なること、又は消滅、変更したことを主張してその執行力の排除を求めるものであり、形式上有効に成立した債務名義の存在を前提とし、実体上の事由により債務名義の請求権を争うものであると解する。従て、債務名義が成立要件を欠き形式上既に無効であると云うのであれば、右事由は他に法律上の救済手段があるのは別として少くとも民事訴訟法第五百四十五条の請求異議の訴として主張し得ないものと認める。

よつて、控訴人の本訴請求は、以上の説示により、その主張自体理由がないものと認めて棄却すべく、原判決は当裁判所とその所見を異にするも、結局控訴人の本訴請求を棄却した帰結に於て相当である。

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